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氷河

ハイ・アークティック、と題された展示がロンドン国立海洋博物館にオープンした。ロンドン拠点のヴィジュアルアーティストグループ、United Visual Artists (UVA) による展示デザインは、昨今新しく増設された美しいサミー・オファー・ウィングのオープニングを飾っている。UVA代表マット・クラークは、詩人であるニック・ドレークと共に北極圏に位置する厳冬のサヴァルバードを訪れ、氷河の現状を目の当たりにした。彼らの見ている前で氷河は溶け続け、ものすごい早さで減少し続けていた。もはやどこか遠い世界の話ではなく、私達の生活に直接関係する明らかな事実である。

耳をすませてごらん、あなたの中で静寂が少しずつ広がっていく...

暗い展示スペースに入ると、どこからか声が聞こえ、コソコソ話をするように私の耳に響いた。誘われるようにして前に進むと、サヴァルバードの氷河を表現した無数の白いキューブに囲まれて立っている事に気づく。私の背丈より遥かに高いものもあれば、今にも消え去ってしまいそうなキューブもある。フロアには、氷河から崩れ落ちて海面を漂う氷のイメージが、プロジェクションされている。あらかじめ手渡されたUVライトを床にむけると、光を受けた氷は瞬く間に崩れ、溶けていった。インタラクティブアートで、これほど力関係が明らかなものがあっただろうか..。象徴的であるとはいえ、私が手にしたライトは次々と氷河を崩壊し続け、暴力的な影響を与えていた。とてつもない罪悪感を感じて思わず座り込んでしまったほどである。莫大な問題を目の前にし、私に一体何が出来るのだろう...と絶望感さえ覚え始めてしまった頃、またあのヒソヒソ声が響いてきた。

「一体私に何が出来るというの?」とか「もう遅すぎる」なんて言わないでほしい...。私達みんな一緒に同じ問題の前に向かい合って立っているのですから...

声はしっかり受け止めた、心も大きく開いていかなくてはいけない。

キーティング敦子

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